基盤技術設計論

社会基盤を形成する施設や構造に求められる安全性、防災、使用性、耐久性ならびに環境負荷低減に対する要求事項を満たす設計法と、それを支える技術動向について論ずる。数千兆円を越える地盤-水-鋼材-コンクリート-高分子で形成される社会ストックの品質と性能、安全、防災に責任を果たすための設計論を事業執行の一連の流れを通じて解説する。

基礎プロジェクトⅡ

コンクリート構造物を題材として、社会基盤施設の計画・入札・契約・設計・施工・照査までの一連の流れについて、自らの五感を通して体験することを目的とする。実際の構造物の建設にあたっては、施工性・経済性・使用性・安全性・耐久性・環境適合性等の観点から総合的に要求性能を満足する必要がある。基礎プロジェクトIIにおいては、主として無筋コンクリートの配合設計、材料管理、打設、養生、性能試験を行う。施工性、圧縮強度、および発熱特性などの設定された要求性能を満足した上で、最大の利益を達成すべく、各自の創意工夫により取り組んでもらう。演習は、数名で構成される各仮想会社による競技形式で行うものとする。なお、コンクリート研究室で開発した自己充填コンクリートや解析ソフトなどの世界最先端の技術についても、適宜体験できるようにする予定である。

応用プロジェクトⅣ

身近な材料や3Dプリンターといった技術を使用してミニ橋梁の設計および施工を行うプロジェクト型演習講義である。他の基盤技術と設計グループの研究室(橋梁・風工学研究室、土質・地盤研究室)と合同で開講する。材料力学ならびに構造力学理論、数値解析を応用し、最適な構造形式の探求を通して、設計や理論と現実の相違、背後にある仮定と適用条件の限界、および工学的判断について学ぶ。また、限られた時間のなかで、品質・精度の高い施工を実施し、自らの設計どおりの構造物を実現するためのプロジェクトマネジメントを実践する。演習は数名で構成されるグループワーク方式で行い、与えられた制約条件のもとで創意工夫に富んだ橋梁の完成を期待している。

企業と技術経営

技術を活用して社会に貢献し、同時に企業として利益を上げるためには、新技術の開発とともに、関係者の利害の一致、技術を評価判断する制度、リスクヘッジの制度などの「仕組み」を構築する必要がある。とくに公共性の高い社会基盤技術では、この仕組みの良否が、企業の経営を左右するだけでなく、社会に対しても大きな影響を与える。本講義では、技術を活用して起業し成功するための条件、そのプロセスと制度について、各国、各分野の実例も交えて紹介する。(実務家の招待講師3回程度)

コンクリート工学

建設材料として最も広く使われているコンクリートを通じて、社会基盤学を俯瞰する。本講義は、1)セメント・コンクリートの材料科学、2)熱力学モデルとライフスパンシミュレーションの基礎、3)構造物の非破壊検査技術と補修、補強技術、4)コンクリートの施工と耐久設計、5)資源の有効活用と環境負荷低減、の主として5部から構成される。講義前半では、材料科学的な観点からコンクリートの形成と劣化にかかわる各種事象のメカニズムを学ぶとともに、熱力学理論と数値シミュレーションを駆使したライフスパンシミュレーションの基礎、およびアセットマネジメントを念頭においた本技術の最新活用事例を概観する。その後、既存構造物の診断に必要な情報を計測する技術、診断後の対策技術などの維持管理技術を紹介する。講義後半では、最新のコンクリート標準示方書を題材に、安価で良質なインフラストラクチャーを実現する方法論を学ぶとともに、環境負荷低減・資源循環を指向した持続的社会の実現に必要な技術・システムを議論する。

少人数セミナー

社会基盤専攻の各教員が、自由なテーマ設定で行うゼミ形式の講義である。コンクリート研究室の教員も多様なテーマで開講しており、以下にその例を示す。

「社会システムとインフラ、人間学」
「インフラ維持管理の現状とデータ活用/DX」
「巨視的/微視的測定で迫るコンクリートの物性」
「コンクリートカヌー」
「3D Concrete Printing」(講義詳細はこちら
※大学院の講義につきましては、英語ページのみに記載しております。
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