最先端・次世代研究開発支援プログラム「グローバルマルチスケールモデルによる無機-有機-地圏環境の強連成評価」

貯留技術評価とリスク評価

近年、二酸化炭素の大気中濃度が高まってきているとのニュースが巷間をにぎわしています。二酸化炭素は地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの一つであるとされ、大気中の濃度を下げる必要性が求められています。温暖化がこのまま進むと、日本では米や農作物の収穫への悪影響や、病害虫の懸念も増大します。世界を見ると北極の氷が溶け、海面が上昇し、海に沈んでしまう国も出てきしまうと予想されています。

そのために、先進国の中には温室効果ガスの排出を減らすために、化石燃料の使用削減、都市緑化、排出権譲渡などの対策がとられつつありますが、地球規模での実質的効果はまだまだ出ていないのが現状です。そこで、今大気中の二酸化炭素濃度を増加させない対策として注目されているのが、二酸化炭素地下貯留という方法です(図1)。その方法の一つに高温・高圧の二酸化炭素を地中の油田などに封入するものがあります。そしてこの封入するための井戸やプラグ(ふた、栓)としてコンクリートを使用することが考えられています。
たしかにこの方法は効果において期待も大きいのですが、高温・高圧の二酸化炭素とコンクリートが触れ合ったときに、どんな現象が起こるのかまだよくわかっていません。

そこで、私たちのグループでは、二酸化炭素の地下貯留安定性評価も可能とするために、地下土壌内部における二酸化炭素移動、セメント・コンクリート構造体中の間隙水への溶解平衡、炭酸塩生成反応モデルの構築を計画しています。
すなわち、セメント・コンクリート構造体の炭酸化反応モデルを高温・高圧環境下に適用範囲を広げ地盤モデルと統合することで、二酸化炭素地下貯留の計算機シミュレーションを行います。同時に、微視的機構に基づく物理化学モデルを数十キロメートルのスケールの3次元空間に展開するために、超高速並列処理アルゴリズムの開発も実施する予定です。

これは、平成22年度にフランスのOXAND社に派遣され、欧州における二酸化炭素貯留技術開発と評価システム構築に従事している埼玉大学の浅本晋吾助教との共同で研究を進めていきます。


図1:二酸化炭素地下貯留の概念図