最先端・次世代研究開発支援プログラム「グローバルマルチスケールモデルによる無機-有機-地圏環境の強連成評価」

将来展望

グローバルマルチスケール統合解析システムを核とする本研究プロジェクトの遂行から、以下に挙げるような波及効果が期待されます。

  1. 従来の個別の学問領域を超えた学際的統合を実現するマルチスケールモデルと大規模解析手法により、地圏環境と人工インフラシステムの一括評価が可能になります。
  2. 様々な時間・空間スケールでの環境予測や対策評価に貢献することが期待されます。それにより、私たち人間が安全・安心に暮らすためだけではなく、生物多様性や生態系を守るうえで必要不可欠な地圏環境の健全性を守る事への貢献が可能になります。
  3. 地下空間への二酸化炭素貯留安定性評価や放射性廃棄物格納施設の超長期耐久性評価への貢献を通して、低炭素社会にむけた課題解決につながります。
  4. 科学的な観点から、環境への影響と対策技術の効果を客観的に評価することが可能になると期待されます。現在、ゼロリスクを求めるが故に浄化対策が進まない用地が多数存在していますが、リスクとコストを天秤にかけた上でこれら休眠中の土地を再生し有効利用することは大きな社会的・経済的価値を創出すると期待されます。
  5. セメント・コンクリート系人工インフラ、自然地盤、地下水流れから構成される広域地下空間において、それらの長期耐久性・安定性を高い確度で評価することで、放射性廃棄物格納施設の安全性の保証とコストダウンに貢献することができます。

グローバルマルチスケール統合解析システムの検証に際しては、既存の研究成果を活用するとともに、実フィールドにおける新たな実験、観測モニタリングを計画しています。この現場での実験・モニタリングに対しては、日本のみならず発展著しい中国やタイでの実験サイトを選定したいと考えています。経済の発展や都市の稠密化に伴う環境問題の深刻化は、アジア共通の問題であり、研究成果の国外移転を積極的に図っていくためです。

また、構築したモデルを組み込んだソフトウェアを外部にリリースすることで社会還元する予定です。(既に数値シミュレーションソフトDuCOMの公開を行っています)