種別(Category) 修士論文  
Master thesis
タイトル(Title) 周辺地盤との相互作用を考慮した地中構造物の長期安定性評価
Long term stability assessment of RC underground structures in consideration of soil-structure interaction
著者(Author) 宮澤圭吾(日本)
MIYAZAWA Keigo(Japan)
主査(Supervisor) 前川宏一教授
Prof. MAEKAWA Koichi
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学修士論文
Master thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2007.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) 現在、コンクリートの永久荷重に対する許容圧縮応力は、圧縮強度の33%以下に規定されているが、地中環境における構造物においてこの規定に従った現在の設計が必ずしも安全性と合理性を持つものであるとは考えられない。それは構造物との相互関係下における地盤応力が常時一定ではないことによる。現状における設計基準は、長期供用条件下におけるこれらの地盤ー構造物の相互関係に関する技術的不足を背景に、構造物の非線形領域への破壊進行を回避する事を意図して決定されているものである。よってこれらの相互関係をより定量的に把握していくことが可能となれば、構造物の使用限界状態を意図した設計への移行が可能となると考えられる。また地下空間における建設には掘削を伴うために建設費用は地上のそれと比べて非常に大きく、事後修繕まで含めたライフサイクルを通して考えた場合には、常にコストの問題と隣り合わせになる。現状においては、これらの技術的な制約と経済的な制約から、部材厚が大きく鉄筋比の低い、極めて柔軟性に欠けた構造物設計が行なわれるケースが少なくない。ひび割れや変形を許容しないこれらの設計は、破壊の局所化に極めて脆弱である上、地盤応力の緩和を誘発できるものではない。よって線形域に設計を留めることで構造物の寿命はかえって縮んでしまう可能性も十分に考えられる。  このような状況を逸脱するには、構造物と地盤の相互関係の把握が極めて需要であると考えられる。そこで本研究においては設計の合理化への道を示すことを目的に、東京大学コンクリート研究室で開発を進めている二次元有限要素解析モデルWCOM-Dおよび、三次元有限要素解析モデルCOM3Dを用いて構造物の長期的安定性について検討を行った。検討にあたっては、地盤―構造物の相互応答に関する解析精度の検証を目的に模型実験を行った。結果として実験における実現象を正しく追随できたのは三次元解析モデルに限定された。これは二次元解析モデルが拘束圧を考慮していないことに起因しており、地盤に高応力が作用する環境下においては拘束圧の影響が大きくなるため、実現象と二次元解析結果の差は大きくなる。一方で三次元解析モデルにおいては、構造物地盤の両者の応答について精度よく追随できており、解析モデルの適用性が実証された。しかし、これらの適用範囲は今回の実験における静的環境下に限定されているおり、地盤のクリープ変形についてはモデルの中で考慮されていない。よって今後において更にその適用範囲を確認する必要がある。しかしながら、本研究で対象とする問題は地盤の静的、長期的挙動を対象としており、モデルの適用範囲を超えることはないと判断した。  次にこれらモデルの整合性を踏まえ、三次元解析モデルを用いて地盤ー構造物ー間隙水の相互関係に着目して感度解析を行なうことで構造物の長期耐久性について検証を行った。その結果、地盤と構造物の相互作用を考慮することで現状の設計基準を十分に緩和できる可能性を示すことができた。これらの、土圧が構造物の変形に対応して抜けていくことに起因しており、変形に伴い土圧は局所的にではあるが、最大でほとんど0まで低下する。しかし、地下水を含む地盤においては、構造物変形に対する土圧低減率はあるところで頭打ちとなり、長期的に急激な土圧の抜けは期待できないことがわかった。よって地下水が構造物に与える影響は水圧による荷重増加だけではなく、地盤による作用荷重を大きなものに留めることで構造物の負担増加に拍車をかけるものである。また地下水位が低下の傾向を見せる場合についても検討を行った。結果、地下水位が低下する場合には、低下以前よりも構造物負担が軽減されることが確認され、地下水位の低下によるケースのみならず、トンネルの水抜き工の有用性まで示すことが できた。このように、水を含む環境では、構造物は更に厳しい状況にさらされることが示され、今後の設計においては地下水位変動を確率的に考慮した設計手法の確立が望まれる。