種別(Category) 修士論文  
Master thesis
タイトル(Title) 離散配置補強筋による既設RC構造部材のせん断補強
Assessment of Shear Strengthening of Existing RC Members Using Dispersedly Arranged Shear Reinforcement
著者(Author) Le Hai Duyen(ベトナム)
Le Hai Duyen(Viet Nam)
主査(Supervisor) 前川宏一教授
Prof. MAEKAWA Koichi
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学修士論文
Master thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2006.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) 既設地下RC構造物のせん断補強のように、補強面が限定される場合には、せん断補強筋を後施工で挿入する補強工法が有効である。この工法では、穿孔作業は挿入補強材料費に比べて比較的高い費用と時間が必要である。そのため、補強鉄筋量を多少増やしても、穿孔の施工数(せん断補強筋の本数)や穿孔深さを必要最小限に抑えることが、補強事業全体のコストを考えると、有効と考えられる。  任意の斜めひび割れに対して、必ずいずれかのせん断補強筋と交差する限界は、ほぼ部材の有効高さに相当すると考えられる。筆者は、学部卒業研究において、有効高さに等しいせん断補強鉄筋間隔を有するRC梁のせん断挙動に取り組み、補強筋の有効性を調べた。その結果、せん断補強筋の配置間隔が有効高さに等しい場合でも、せん断補強筋は密に配置した場合の40%程度の効果を示した。配置方法の検討においては,一組ごとに配置される順列配置と,奥行き方向の配筋がずらして部材方向の見かけ上の補強筋間隔を有効高さとした千鳥配置では,期待に反して効果が同程度であった。離散配置した場合でも一定の効果を確認したものの,必ずしも十分なものではなかった。 そこで本研究では、まず使用本数を維持しながら鉄筋量を上げて離散配置を検討した。あわせて、既存鉄筋の存在や、挿入補強筋の定着状態及び挿入長という既設RC構造物と施工の状況を考慮し、せん断補強効果に対する影響を実験的及び解析的に検討した。これらの検討により、合理的な補強工法の提案を行うことを目的とした。 まず、補強筋をD10からD16にした時の実験では、補強効果は改善された。順列配置では、112%もの補強効果が得られた。千鳥配置の場合でも、順列配置の効果ほどではなかったが、鉄筋量の少ない場合より補強効果は改善され、72%に増加した。ひび割れの分散も確認されたが、順列配置では斜めひび割れが横切っていた補強筋の一部がスパンの端に移動されたため、順列配置ほど効果を発揮しなかったと考えられる。しかし、2次元非線形解析WCOMDによる検討では,補強筋間隔が有効高さを超える場合、千鳥配置には、斜めひび割れに抵抗する補強筋が必ず存在するため、順列配置より効果が期待できることが示された。 次に、既存構造物の既存鉄筋を考慮した後施工千鳥配置の効果について検討した。既存鉄筋の存在によりひび割れが分散し、千鳥配置の効果は244%となり、十分な効果を発揮した。既存鉄筋と千鳥配置補強筋の複合効果と千鳥配置の3次元的な効果により、この高い補強効果が得られた。2次元非線応答解析では、千鳥配置の3次元的効果が現れた実験結果を表現できなく、大きく下回った。3次元非線形応答解析COM3を使用することで、この効果を考慮でき、実験結果をより評価できた。  最後に、既設構造物の補強における実際状況を考慮し、せん断補強筋の挿入長と定着状態のせん断補強効果に対する影響を検討した。挿入長と補強筋の効果との関係が得られた。定着不良の補強筋を使用する場合、主鉄筋に沿って横方向のひび割れが発生し、効果が期待できなくなった。離散配置された補強筋にたいして、離散配置による補強効果の減少も考慮する必要がある。また、十分定着のある補強筋をしても、主鉄筋位置を超えて挿入しない限り、最終的に、耐力の減少伴う主鉄筋に沿う横方向のひび割れが発生するという結果も得られた。