種別(Category) 修士論文  
Master thesis
タイトル(Title) セメント硬化体内部における水分相平衡の温度敏感性
Temperature Sensivility of Moisture Equilibrium in Cementitious Material
著者(Author) 磐田吾郎(日本)
IWATA Goro(Japan)
主査(Supervisor) 石田哲也講師
Lecturer. ISHIDA Tetsuya
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学修士論文
Master thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2003.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) コンクリート中の水分状態は、劣化現象の原因となるクリープ・収縮や塩化物イオン等の物質移動に大きな影響を与えることが分かっている.従って、コンクリートの劣化現象を予測するためにはコンクリートの水分保持・移動の挙動を調べることが不可欠である.水分挙動を追跡するモデルが現在考案されているが、室温以外の条件下に関してはまだ精度良く追跡できていない.実際のコンクリート構造物は様々な温度履歴を受ける.そこで、モデルを任意の温度条件下に拡張するために本研究では、任意の温度条件下におけるセメント硬化体の水分平衡特性を調べることを目的とした.その際、セメント硬化体内部における液状水と層間水は挙動が異なることから、それぞれの平衡特性について検討した. まず最初に液状水と層間水の平衡特性を調べるために、液状水量と層間水量を分離して測定する方法についての検討を行った.そして、その方法を用いて実際に液状水量・層間水量の測定を行い、液状水・層間水それぞれの水分平衡特性について考察した.さらに、その結果をもとに劣化現象の一つとして乾燥収縮に対する液状水量・層間水量の影響について検討した. 液状水量・層間水量の測定法として、乾燥条件による分離、熱重量分析、有機溶媒による溶媒抽出の3つの方法について検討した.前者二つの方法については、液状水と層間水の分離が曖昧なため方法から除外した.液状水と層間水を比較的明確に分離できることから、有機溶媒(本研究ではエタノールを用いた)による溶媒抽出を測定方法として用いることとした. そして、溶媒抽出により実際に液状水量と層間水量を測定した.任意温度条件下における水分平衡特性を見るため、温度20℃、40℃、60℃において実験を行った.それに基づき、各々の任意温度条件下における平衡特性について検討した.その結果、液状水の挙動は湿潤過程においては古典的熱力学理論が任意の温度で適応できることが明らかとなった.一方、乾燥過程においては完全に平衡に至るまで時間を有する現象が観察された.これはインクボトル効果により取り込まれた液状水が非常に緩やかな速度で逸散するためと考えられる.層間水に関しては、水量は温度に強く依存し、乾燥過程・湿潤過程によらず、相対湿度の影響もほとんど受けず等温線は一定値となることが明らかとなった. 最後に、液状水・層間水それぞれの水分平衡特性がコンクリートの乾燥収縮に与える影響について検討した.その結果、定性的ではあるが層間水の逸散により収縮ひずみが発生することが分かった.また、総逸散水分量と収縮ひずみの関係を調べる実験より、単位逸散水分量当たりの収縮ひずみが水分の逸散が進むに連れて減少することがわかった.これは、層間水の逸散が終了したこと、インクボトル中の水分逸散により収縮応力が減少したことが原因として考えられる.