種別(Category) 修士論文  
Master thesis
タイトル(Title) 任意の配合条件を有するセメント硬化体中の塩化物移動・平衡則の一般化
Modeling of Chloride Transport and Equilibrium in Cementations Materials with Arbitrary Mix Proportions
著者(Author) 竹上浩史(日本)
TAKEGAMI Hiroshi(Japan)
主査(Supervisor) 石田哲也講師
Lecturer. ISHIDA Tetsuya
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学修士論文
Master thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2002.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) コンクリート中の塩化物の存在は鉄筋の腐食をもたらし,構造物の安全性や使用性,また耐震性能などを著しく劣化させる.設計体系の性能照査型への移行や将来の補修計画の立案,ライフサイクルコストの評価を行うためには,任意の配合・環境条件下においてコンクリート中の塩化物分布を予測する技術の開発は極めて重要である.例えば,現在東京大学コンクリート研究室において,コンクリートの品質・性能の変化を追跡できる熱連成力学システムの開発が進められている.本システムは,現象に基づくモデル化を行うことで,初期条件および境界条件が与えられさえすれば,セメント硬化体中の塩分分布を予測することが可能である.しかしながら,塩分移動・平衡に関する機構は不明な点が多く,モデルも簡略化されている.任意の配合,環境条件を包含するに至ってないのである. そこで本研究では,塩化物移動・平衡則の機構解明と,任意の配合条件に適応可能なモデルの構築を目指し,コンクリート中における塩化物の固定化性状および移動性状について各々検討した.固定化性状に関しては,主として高炉スラグ微粉末を混入することによる変化に着目した.セメント硬化体中の塩化物を固相・吸着・および自由塩化物に厳密に分類し各々を正確に定量した上で,高炉スラグ微粉末の置換率により変化する塩化物平衡関係の定量化を試みた.その結果,置換率が増加するに従い,空隙壁面に吸着される塩化物が多くなることが明らかとなった.また粉体構成や塩化物濃度によらず,自由塩化物と吸着塩化物との間に線形関係を見出し,平衡定数により両者の関係を定量的に表すことに成功したのである.一方,高炉スラグ微粉末の置換率と固相塩化物量の間に明確な相関関係は認められなかった.ただし配合による固相塩化物生成量の変動は少ないことが確認され,高炉スラグ微粉末の使用によりもたらされる固定塩化物量の増加は主に吸着塩化物に起因することを示した.さらに塩分浸透現象を解析的に検討することで,高炉スラグ微粉末を用いた際の塩化物浸透抑制機構は,吸着塩化物の増加による移動空間の閉塞に起因する可能性を示唆した.移動性状に関しては広範囲の水セメント比における塩化物浸透試験を行い,塩化物移動抵抗性を空隙構造の幾何学的な屈曲度と吸着塩化物による移動抵抗性に分類することで,より合理的なモデルを提案した.また解析事例を通じて,現在の塩化物移動モデルがコンクリートにおいても実現象を非常に良く追跡しているが確認できた.