種別(Category) 修士論文  
Master thesis
タイトル(Title) 低品質再生砂を用いた再生モルタルの強度特性とその改善手法に関する研究
Strength Property of Mortar with Recycled Fine Aggregate of Low Quality and its Improvement Technology
著者(Author) 小島昌太郎(日本)
KOJIMA Syoutarou(Japan)
主査(Supervisor) 岸利治助教授
A. Prof. Kishi Toshiharu
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学修士論文
Master thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2002.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) 近年,建設業界においては建設廃棄物の増大のみならず天然資源の枯渇や最終処分場の不足といった観点から,循環型システムの形成は焦眉の急にある.高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物が間もなく供用年数を終えることもあり,コンクリート塊中の骨材を再度建設資源として利用することが望まれている.しかし現状では,その用途は路盤材・埋め戻し材といった分野に限定されているため,真の循環型リサイクルシステムの構築が必要になっている. 再生粗骨材に関しては,周囲の付着モルタル分を除去することで天然骨材並みの性能を期待することができるものの,一方で再生細骨材量の増加を伴う.この再生細骨材は周囲の付着ペースト分の除去に多大なエネルギーを要し,リサイクル困難であるといえる.本研究では,単に破砕処理を施しただけの低品質な再生細骨材を用いながらも,細骨材の内部に存在する水分と周囲の新セメントペーストマトリックスとの複合的な相互作用により,普通コンクリートと同等な性能を有する再生コンクリートの開発を最終目標に据え,「低品質再生細骨材」を一般構造物に再利用するための技術開発に取り組んだ. 既往の研究より,低水セメント比配合とすることで耐久性の向上が望めることが明らかとなっているが,強度に関しては逆に天然骨材を用いた場合との差が大きくなることが分かっている.そこで本研究では,コンクリートの強度特性を表し,容易に計測可能な「圧縮強度」に着目し,モルタル内部における水分移動特性・骨材周りの旧ペーストマトリックス等の微視的挙動を考察することにより,改善効果の機構解明に努めるものである. まず,既往の研究において示された「絶乾高温状態混練法」を詳細に分析することにより,乾燥した細骨材を用いる効果を明らかにした.単に乾燥した再生細骨材を用いることで強度改善が望めるという非常に画期的な手法であると思われる.また,この効果は天然骨材に適用した場合や普通水セメント比と組み合わせた場合には見られない特異な現象であることを確認した.更に,膨大な数の供試体による載荷試験を行うことで改善効果発現の要因となる機構を示す有力な情報を得ることで,高炉スラグ微粉末やフライアッシュといったポゾラン系の各種混和材を組み合わせるという新たな改善手法を提案するに至った.共に産業廃棄物である混和材と再生細骨材を組み合わせることによって,天然骨材を使用した際には見られない改善効果を得ると共に,循環型社会への移行を推進するインセンティブとなることが期待される.ここで,各種混和材が再生モルタルの強度特性に及ぼす影響から機構解明を進めることで,改善効果は再生細骨材内部まで及ぶものではなく,再生細骨材と新ペーストマトリックス間に存在する界面の強化に特化するものであることを明らかにした.これは今後更なる改善効果を模索する上で重要な情報を示唆するものである. 以上,本研究においては,低品質再生細骨材を用いる上での様々な改善手法を提案した.コンクリート構造物における要求性能ごとに,適切な材料と使用方法を選択できる可能性を開いたといえよう.真の循環型社会への移行につながる有益な手法の提示への道筋をつけたものと考えている.