種別(Category) 卒業論文  
Graduation thesis
タイトル(Title) 吸着剤を混入したセメント硬化体の塩分遮蔽性
Effect of Adsorbent in Cementitious Material on Chloride Equilibrium and Transport
著者(Author) 松崎拓也(日本)
MATSUSAKI Takuya(Japan)
主査(Supervisor) 石田哲也講師
Lecturer. ISHIDA Tetsuya
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学卒業論文
Graduation thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2003.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) 鉄筋コンクリート構造物において,塩化物の存在は鋼材の腐食をもたらし,構造物の耐久性能を著しく低下させる.したがって,塩化物イオンの浸透抑制またはその排除が肝要と考えられる. 本研究では塩化物イオンによるコンクリート構造物の劣化を防ぐために,吸着剤を混入することでコンクリートの耐久性を向上させることを目的として2種類の実験を行った.これらの実験において,吸着剤は骨材の20%(体積率)と置換した. まず,吸着剤を混入することで塩化物イオンの浸透抑制に効果があるかを検討するため,普通のモルタル,イオン交換樹脂を混入したモルタル,活性炭を混入したモルタルの3ケースそれぞれにおいて,供試体の一面のみを開放した供試体を食塩水に浸漬させて塩化物イオンの浸透試験を行った.実験の結果,イオン交換樹脂を混入した場合,開放面からの各距離において,全塩化物量の値が普通モルタルと比べて大きくなる一方,塩化物イオンの浸透深さはほぼ同じであるという結果が得られた.これはイオン交換樹脂が細孔溶液中の塩化物イオンを取り込むことで,一時的に濃度勾配が発生し,イオン交換樹脂が取り込んだ分だけさらに外部から塩化物イオンが供給されるためであると考えられる.一方,活性炭を混入した場合においては,非開放面からも塩化物イオンが浸透しまったときのデータしかないために推測であるが,塩化物イオンの浸透深さが普通モルタルより大きかったことから,塩化物イオンの浸透が促進されたと考えられる. 次に,海砂を用いる場合などあらかじめ塩化物がコンクリート中に存在する場合を想定し,普通モルタルとイオン交換樹脂を混入したモルタルの両方について,練り混ぜ水を食塩水(3%)として供試体を作成した.封緘養生した供試体をそれぞれ2日後,7日後,14日後と細孔溶液抽出試験を行うことで,鋼材の腐食に悪影響を与える自由塩化物イオン濃度を直接求め,それによって自由塩化物量を比較した.この結果,イオン交換樹脂を混入した場合,自由塩化物量が減少することが分かった.これはイオン交換樹脂を混入することで,細孔溶液中の塩化物イオンがイオン交換樹脂内部に取り込まれるため,自由塩化物量が減少していると考えられる.すなわち,供給される塩化物量が有限であれば,鋼材の腐食抑制に効果があると考えられる.しかし,イオン交換樹脂の効果が表れるのには時間がかかること,その効果が期待したほどではなかったことを考えると,実際に鋼材を腐食させないようにイオン交換樹脂を利用するためにはまだまだ検討を重ねる必要があるといえる.