種別(Category) 卒業論文  
Graduation thesis
タイトル(Title) 要素試験による好気性微生物分解反応の定量化
Quantification of Aerobic Decomposition Reaction by experiments
著者(Author) 久末賢一(日本)
HISASUE Kenichi(Japan)
主査(Supervisor) 石田哲也講師
Lecturer. ISHIDA Tetsuya
キーワード(Keyword)  
 
掲載誌(Events Venue) 東京大学卒業論文
Graduation thesis of the Univ. of Tokyo
発表年・月(Published Year, Month) 2003.3
論文入手先(Name of Publication) 東京大学図書館
Library of the Univ. of Tokyo
要旨(Abstract) 現在、都心部において有機廃棄物は増加の一途をたどっており、効果的な処理方法の開発が重要な命題となっている。その解決策のひとつとして、コンポスト化処理が有効な手段として現在注目されている。コンポスト化処理とはバクテリアを利用して有機廃棄物を堆肥化する処理方法である。この処理方法の利点としては、他の方法では再利用できないようなものを有価物として回収できるために最終処分地を必要としないこと、ダイオキシンや水銀ミストなどを生じないこと、などが挙げられる。実用化に際してはプロセスの安定化や効率化、品質の安定化が求められるため反応機構の定量化が求められる。しかしながら、反応プロセスは複雑で影響因子が多岐にわたるため反応の一般化が困難であり、反応機構の定量化には至っていないのが現状である。そこで本研究では、コンクリート水和反応と微生物分解反応との類似性を生かして様々な影響因子の定量的な評価とそれによる反応メカニズムに関する知見を得ることを目的とする。 本研究ではC/N比・量・含水比・温度による分解反応への影響を、伝導型微少熱量計を用いた要素実験によって検討した。伝導型微少熱量計は槽全体を恒温に保ち、試料容器から外部へ放出される熱量を測定する装置である。C/N比に関しては、実験材料に白菜・キャベツ・それらの混合物を用いて実験を行った。本実験から単一系・混合系ともに反応プロセスへの依存性は大きいことが分かった。次に、同一混合比で有機物・微生物量を変え実験を行ったところ、積算熱量は有機物・微生物の量に比例することが分かった。したがって、様々な物質が混在している有機廃棄物においても少量のサンプルをとりC/N比を測定すれば全重量のみから反応プロセスを予測できると考えられる。また、含水比に関しては、既往の研究では40~60%が適切であるとされているが実験では含水比(50~70%)が大きくなるほど反応が活発化した。含水比が大きいと内部の空気量が減るために一般に酸素の供給は少なくなるが、本実験においては規模が小さく高含水率においても十分酸素が供給され、反応が活発化したためであると考えられる。したがって、酸素が十分に供給されている状態においては含水比が高くなるほど反応が活発化すると考えられる。温度については、本研究における30~50度の範囲では高温になるほど反応が活発化した。なお、より高温域においての反応プロセスに関しては今後の検討課題である。また、温度変化に関するデータをアーレニウスプロットしたところ、反応速度の対数と絶対温度の逆数において線形性が見られ、その関係から分解反応の温度活性を予測することができた。以上のように伝導型微少熱量計を用いた実験から微生物分解反応への様々な影響因子についての知見を得ることができた。 続いて断熱温度上昇試験を行った。伝導型微少熱量計における実験は、用いた試料が微量であり温度も常に一定であるという特殊な環境下で行った実験であるため、この結果のみから分解反応に及ぼす様々な影響因子の定量的評価を行うのは不十分であり、次に断熱温度上昇試験を行い伝導型微少熱量計との反応の相違を検討した。その結果、積算熱量と発熱速度は伝導型微少熱量計における結果と大きく異なった。これは、酸素が不足したことにより実験内部まで供給されず、嫌気性分解反応になり反応熱量が低下したためであると考えられる。したがって、本実験のみから好気生物分解反応を評価することは困難であり、今後酸素を十分に供給した状態で断熱温度上昇試験を行うことが必要である。 本研究によって、有機物質の成分をC/N比のみで代表できること、物質の混合比が分かれば物質量によって積算熱量を予測可能である、アーレニウスプロットを用いれば温度活性を予測可能であることなどが分かった。今後、本研究の方法論を用いて各々の機構解明の数量化を行うことで、最適化処理システムの構築が十分可能であることが示された。