第ニ回議事録 (10月24日,11月1日)

ローマ人の物語第II巻 


「vsカルタゴ戦いの中から考えたこと」
○ ローマは今まで海や船に関しての知識がなかったため、(つまり海に関して素人であったため)カルタゴ、ギリシャ等(=海のプロ)が思いつかない海の戦い方(=カラス)を発明できた。地上戦を得意としたローマは単純に海上で地上戦をできないかと考えたのではないか?(by山崎)
cf)司馬遼太郎の小説−日露戦争時の不恰好でも機能重視のアメリカの軍船と、格好を重んじたイギリスの軍船。
   源義経が船のこぎ手をまず殺したこと。←その時代のタブー(=常識)を犯した。
point
・ 「素人の発想」、「プロの知識」
・ 「自分の得意なところで勝負すること」
・ 「本質が見えている人にとっては時代によって変わる常識は関係ない。」

○ 海のプロとしてのカルタゴやギリシャの海戦能力も後世から見ればたいしたことない。しかし周りとの競争がなかったために発展の必要性を感じなかったのではないか。
cf)ポエニ戦役後の時代のマケドニア
point
・ 「発展は自分より優れたものとの競争の中にある」

○ カルタゴはなぜハンニバルに対して十分な支援を行なわなかったのか?
・ カルタゴには先見性がなく、国内派と国外派に別れていたためにまとまりがなかった等の理由でハンニバルの支援をなかなか積極的に行なわなかった。カルタゴにとってローマの侵略は有益なものではなかったのか?
・ カルタゴ内の人たちは、ハンニバルと一緒に戦ったこともなく、会ったことすらない。ローマの強さは身をもって知っている。やはり、会った事も、戦いぶりを見たことないとなると、戦績が優れているから「勝てるかも」とは思えても、「こいつにすべてを賭けよう、託そう」と、踏み切るのは難しかったのではないか。
・ すばらしい能力を持っている人は同じレベルの能力を持っている人にしか正確にその能力を理解されない。
・ スペインはカルタゴにとっては他国のようなものであったのではないか。そしてそこからイタリアに攻め入ったハンニバルに対しても同程度の認知しなかったのでは。
・ 戦争に従軍している兵士が傭兵であったため戦争前にローマのような十分な話し合いがもたれなかったのではないか。
○ アルキメデスの武器−人の個々の能力に頼らず誰が使っても成果が出るものを。(by千々和)
この時代はソフトの充実(優れた人材登用など)が大きく戦局を左右していたがやはりハードとしての「もの」は重要であるということの再認識。
point
・ 「ソフトとハードの重要度」

○ 傭兵のメリット、デメリットは?
メリット−戦いのプロである。
デメリット−国を守るため等の精神的な理由からの強さ期待できない。
ハンニバルの傭兵は、全部が全部ではなかったとは思うが、「国(カルタゴ)を護る」とは思わなかったろうが、ハンニバルと戦いを共にする中で、ハンニバルの子飼いの兵隊とともに、「ハンニバルを護る、ハンニバルと戦う」という精神的な強さは、あったのではないか。

スキピオvsハンニバル
能力…
○ スキピオ−政治や社会などシステムの全体的なリーダーとしての能力に加えて戦争のときの武将としての能力も優れていた。これは大きな組織を組んだときに必要な、全体を見て適材適所の人材登用ができる能力と大勢を見ての先を見た判断力などに加えて、一個人となったときの仕事の能力の両方を持ち合わせていたということではないか。また彼の性格がおおらかで優しい等、人を惹きつけるものであったことも全体的なリーダーとしては必要なものである。組織が大きい場合、長く時間をともにした後でないといい人だと分からないということや、人によって好き嫌いが分かれてしまってはとても全体がまとまらないからである。

○ ハンニバル−戦争時の武将としての能力が優れていた。これは戦争等、目的のはっきりした社会の中でその目標達成へすばらしいアイディアを出し、それを実際に実行する実行力や状況判断能力を持っていたということである。このことは彼が大勝の後にも当初の目的を見失うことがなかったことにも表れている。このような場合大きな組織の一部として大きな成果を発揮はするが、その人が一人でその組織全体を見ることになるとその能力に適した最適な「大きさ」を超えてしまうということになる。これには能力の高い低いではなくスキピオなどがもっていたまた全く別の能力を必要とするということがいえるだろう。これは子飼いの兵士に愛されたが、カルタゴ全体との関係の希薄さや大きくなりすぎた自分の兵を見切れなかった場面において見られるのではないか。


戦争時の能力…
○ スキピオ−相手側の優れた戦術を自分の戦争時に応用して使用することで勝利を収めていったその能力は、優れたものを見極めてその有効な使用箇所を見極めるという点で彼自身の根本的な能力の一部といて考えられるのではないか。またハンニバル同様その情報収集力や状況判断能力の高さも彼の戦争時の能力と言えるだろう。

○ ハンニバル−アレクサンダーというお手本はあったものの戦争時の戦術を自分で考え、それを実際の場で実行に移して成果を上げたという功績から考えてみると彼の能力は次のように言えるのではないか。まず自分のフィールド(この場合は戦争)の中の情報の収集、判断能力に優れていること。そしてその中での対策を自分自身で創造する能力と戦争の戦術の開発能力が高かったことである。そして何よりも特筆すべきはその考えたことを実際に行なうまでの実行力ではないだろうか。

戦争の位置づけ
○ スキピオ−戦争はあくまで政治上の目的を達するための手段であった。
○ ハンニバル−戦争は彼の腕を見せつける有一の場でありかつ彼の目的そのものであった。

(文責:福島秀哉)

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