第6回少人数セミナー「ローマ人の物語」(6月9日6限)
正式名称「社会システムとインフラ、および人間学」

◆内容
新書版4巻、文庫版8〜10巻について。

◆今回の参加者
石田先生、千々和TA、池田(司会)、吉田(書記)、藤田、富田、鈴木、稲葉、藤森、谷道

◆議事録
池田:いつもどおり読後の印象をお願いします。
稲葉:ガリア2年目までしか読んでないですけど…。
稲葉:カエサルが四十歳になるまで起てないことが驚き。神童だと思ってた。
藤田:(どこまで読み終わったかについて)ルビコン川越えました(笑)なぜカエサルが反元老院なのか書いてなくておいてけぼり感が。今までのローマは自衛ばっかだけど、カエサルはイギリスに攻め込んだり積極的だし野心的。あとは、キケロがすごくかわいい。手紙書きまくっているところとか。
鈴木:塩野さんがカエサル好きだからなんだろうけど、どう読んでもカエサルがかっこよくしか読めない。女にモテまくりだし。「天才は彼の生きた時代を超えたからこそ天才なのである」と書かれているのも心に残った。「サイは投げられた」というセリフもかっこいいし、それに従わなかったラミエネスもかっこいい。
先生:カエサルのライバルがスッラだったら、という仮定を考えると楽しい。巡り合わせって面白いなあ。
千々和:ローマは本当に強かったのかな、という疑問。
富田:元老院の最終勧告に対して弁論したり、民衆想いのカエサルがかっこいい。
藤森:カエサルの女と金についての記述が面白い。ガリア人しつこい。

ここでふとした疑問が。

富田:塩野さんって女?
先生:女だよ。

どうやらけっこう多くの人が塩野さんを男だと思っていたらしい。

谷道:女性の視点から見てってところが面白い。
藤森:女性の視点から見たといえば、「男たちへ」という本が面白いよ。
※注:「男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章」は男性論を中心とした塩野七生のエッセイ。
谷道:アレクサンダー大王の像の前でのカエサルのぼやきに親しみを覚える。
(塩野さんが)女性の視点からカエサルを見ていて、女として納得。

ここで再び塩野さんが女性だということについて盛り上がる。

富田:文章が偉そう。
谷道:お前男だろ!って思ってた(笑)

閑話休題。

池田:カエサルがヨーロッパを創作しようと考えたという部分が心に残った。
吉田:女と金が面白かった。当時の文化とかを見れてよかった。プライベートな面とか。

とりあえず全員が感想を言い終わる。

池田:まだ、読み終わってない人もいるのでどうしましょうか。

年代順に追っていくなど様々な意見が出るも、次第に「女と金」の話題になっていく。

藤田:「女と金」って言いたいだけだろ!
藤森:俺昨日メッセで「女と金」について話した。

結局「女と金」について話し合うことに。

谷道:かっこよくなくてもモテてる人は今でもいる。顔だけじゃない。
池田:社交の場での愛人への対応がうまい!
富田:妻もその場にいるんだけど、その後きちんとフォローしてる。
谷道:妻が「結局はあたしの元に戻ってくるんでしょ」と思っているのかも。

女性陣盛り上がって、男性陣なかなか会話にまざれず。

鈴木:疑われただけで離婚したりしてるよね。
谷道:それを見て他の女がやっぱかっこいいわって思ったりして。
先生:気持ちの機微をつかむのがうまかった。人間観察力にすぐれてたんだろうね。
池田:他の民族についてもよく観察しているし、天性の観察力を女で養ったんだろう。
藤森:恋愛からいろいろ学んでた。
先生:本文中にも「ひとつのことをひとつの目的でやるわけではない」とあるしね。
藤森:あとは、禿げているのを隠したり、案外普通の人だよね。
鈴木:なんかちょい不良(ワル)オヤジ?

ここから、話題は「ちょい不良(ワル)オヤジ」に。

(略)

話を「女と金」に戻す。

富田:カエサルの愛人であることがステータス。
池田:交際を公開していることについて夫側がどう思うのだろうと思った。
鈴木:現代でもおば様方がヨン様に熱上げているようなもん?
稲葉:政略結婚だったからってのもあるのかも。
池田:私生活は奔放だから、そこまで気にしないのかも。
先生:多神教ってのもあって宗教的に気にしないというのもあったはず。
鈴木:カエサルはアイドル的存在だった!?

ここで、カエサルの女性観にも話題は及ぶ。

千々和:人間観察が好きな人で、女もその対象だったとか。
稲葉:等価で何人も愛してるのは事務能力が高かったからだと思う。
鈴木:能力の使い方間違ってるよね
藤森:自分の興味のあることしかやらなかった。
池田:きっとB型だ。

B型同盟→池田・藤森・千々和

鈴木:全員愛してなんかいないって。
藤森:愛してたと思うよ。

「愛ってなんだ」という議論になりかける。

鈴木:マザコンっぽい
藤森:母を尊敬してるって感じ
藤田:女性だけでなく、自己実現のために何でも使ってる。
藤森:そろそろ金の話がしたくなったなぁ。

というわけで、ここからお金の話題になる。

池田:金にしろ女にしろ執着心なさそうな感じ
藤森:凱旋式も目的のために捨てたしね。
藤田:お金も女も権力も、あくまで自己実現の手段ですよね
先生:好きなんだよ、女性が。手段とかじゃなくて!

ここで、カエサルのように仕事できると女の扱いがうまいのかという疑問。

谷道:仕事できると自分に自信持てるから。
鈴木:そういえば先生の....

(略)

続いて話題は借金のことについて。

富田:返す気なさそう。
池田:江戸っ子だった(笑)
藤田:20年後を見据えて「返せる」と言っていたのか、それとも楽観的に「返せるよ、あははは」だったのか

満場一致で後者だろうということになった。その後も、返す気があったのかどうかの話題。

稲葉:返せる確信は無いけど自信はある。
藤田:スッラが出世コースを整備したから達観してた。
先生:スタート地点に立つまではのんびりで、立ったら全開だったんだろう。
千々和:どこが(「債権者<債務者」と「債権者>債務者」の)境界線なんだろうね。
鈴木:クラッススが保証人になったところでは?

先生:これだけ借金できるのも才能だよね。
千々和:天真爛漫だし長島茂雄みたい。
鈴木:たしかにミスターになら貸せる。

ここからしばらく借金の話。誰の発言かメモし忘れたが、
・ローマ市民は借金で奴隷にならないのを悪用?
・小物(カティリーナ)は借金でつぶれる。
・借金はむしろステータスだったのでは?
・ギネスに載れるよね。
などの意見があった。

池田:お母さんに相談しなかったのかな
藤田:お母さん説教しろよ!

なぜ債務者から債権者になれたのか。

藤田:財布(クラッスス)がオリエントに行って、自分で稼がなきゃな、みたいな(笑)
先生:塩野さんがカエサルをよく書いてるから逆に否定的に見てしまいがちだけど、これだけの偶然(ガリアでの財政的成功など)は続かない。彼の能力を否定するのは難しい。
藤田:自分のやりたいようにやっている。後藤新平みたい

今日の中井先生の授業がさっそく活かされている

藤田:カエサルはもっとでかい規模で勝手にやってる。
鈴木:けど(元老院を)軽視はしてるけど無視はしてない。
藤田:徹底してなくない?
鈴木:バランス感覚ですよ。
池田:全体を見る力があって、先を見る力もある。並みの人じゃない。
鈴木:並々ならぬ人ですよ。
藤田:あらゆるものを自分に都合よく使ってる。

千々和:前提としてカエサルの最大の目的は、元老院体制を破壊して、帝政を目指してたんだよね。
稲葉:スッラは現体制維持だったけど…。カエサルはそんなには考えてなかったのかも。時代が動かしたのでは。
富田:ローマを広げたかった。
池田:全体をしっかりと平定したかった
鈴木:けっきょく世界の範囲を自分で思い描いたように決めてしまった。
藤森:ヨーロッパを創作!
先生:ここまでを征服するのが合理的、という判断だったのでは。
藤田:結果オーライ的な部分もあった。

なぜカエサルが民衆派として活動したかについて話し合う。

稲葉:目的があって民衆派だったのかな。
鈴木:あくまで元老院派ではないってことでは。
池田:お母さんの意見もあった。
先生:皮袋を治すのではなく、あたらしい皮袋をつくろうとしてた。

カエサルの目的がわからず読みにくい、もっと全体を俯瞰的に見たいという意見が出てくる。

鈴木:2回目読むとカエサルの行動に無駄が無い。女遊び以外だけど。
藤森:無駄じゃない!
藤田:(「ローマ人の物語)が)ガリア戦記みたいに前書きを書かないんだ
先生:前書きを書かないってのはすばらしい。

ここから先生が前書きを書かないことの意味や効果を説明。
いきなり結論を言うのも,卒論などのプレゼンにおいて有効だそうです。

その後、ガリア戦記での三人称現在の文体についての言及から、話題はmixiやGREEへ。

(略)

◆まとめ:
・女と金にからむカエサルの人間性がのちのちの戦闘などに出てくる。
・カエサルはちょい不良(ワル)オヤジだった。

◆来週の予告
・カエサル40歳以降。
・司会は富田、書記は谷道。


文責:吉田雄太郎

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