2002/01/31提出締め切り
少人数セミナ− 持続可能な社会を考える
最終レポート
土木工学科 3年 20002 千々和 伸浩
日本とローマの変革の原動力
ローマの成長の源は、やはり異質なものをも自分の中に取り込んでしまう柔軟性にあったのだと思う。異質なものをそのままに受け入れ、自らの内に取り込むということは、絶えず社会に対し刺激がもたらされるということである。この刺激こそが、直接的にローマの旧来のシステムを状況に応じて変化させ、その中で覇権を確保していく原動力だったのではないかと思う。社会に新たな価値が流れ込み、それに応じてその都度にシステムが変革されるということは、ローマがそのとき立たされている状況に対し、常に最適化された祖ステムで臨めるということだからだ。
このようにローマの変革を眺めた上で、日本に目を向けてみる。日本はローマと全く対照的に内向的で閉鎖的な国である。ゆえに当然普段はよそから刺激はもたらされず大きな変革というものは行われていない。この国ではそのシステムを根本的に変えるような刺激というものは、元寇後の鎌倉幕府への武士の不満の高まり(後の幕府倒幕につながる)、ペリー来航後の討幕運動・明治維新、戦後の民主化などの例があるように、基本的に外からもたらされるものなのである。
それでは現在のほぼ行き詰まりの日本において、現状を打開するような変革をもたらすような刺激とは何であろうか?もちろん戦争という予測不能な事態に巻き込まれる可能性はいつでも存在するが、あまり望ましい刺激ではないし、むしろ積極的に避けるべき刺激である。私が考えるに、最も可能性があってかつ望ましい刺激とは、メディアから与えられる刺激であろうと思う。メディアが健全に機能し、現状の問題・その解決策とその策の問題点などについて、国民にきちんとした説明を与え、それに基づいて国民が常識をもって善悪を判断し国を動かす、これこそが今望まれる国のあり方(これが本来の正しい民主主義の姿なのであるが)であろう。
しかし今の日本のメディアにこのような役割を果たせるかと言えば、答えは完全にノーである。確かにメディアは様々な問題について情報を発信し、世論を形作っている。しかし結局のところ、メディアで今行われていることは単なる現状批判でしかない。今のメディアのやっていることは、無難な批判対象をみつけ、自身が国民の批判を受けない方向へと批判を行っているだけなのである。当然報道に対する信念もないし、現状を打開する策もない。現在様々な国会議員が”抵抗勢力”といわれているが、何より一番の”抵抗勢力”とはメディアそのものと思う。
メディアがメディアとして健全に機能すること、そのためにまずメディアが変革されること、それが行き詰まってしまった現在の日本を変革するのに何より必要なことである。そして、このためにはまず日本の国民がより正しい報道のもとにさらされ、今のメディアの問題をきちんと知らなければならない。情報があふれる今、自分から真実と思うものを探すのはとても難しい。しかし、それは現在において豊かさを享受するための一つの義務であろうと思う。
・ 歴史に影響を与えた人間ランキング (評価軸:影響を受けた人間×時間×影響深さ)
1. キリスト :キリスト教によって西洋人の生活の根本を形成し、以後世界に伝播。科学技術の温床ともなっていて、その点でも現在の人類の生活に最も影響を与えている。
2. マホメット:イスラム教の開祖で、現在でもイスラム世界を厳格に規定している。礼拝、断食などの直接的な行動の規定という意味では最も影響力の強い人間。
3. 仏陀 :その哲学が、特にアジア域に住む人間の思想の根本を形成。
4. 蔡倫 :紙の発明。この発明により世代を越えた知識の蓄積、伝達が可能になった。
5. グーテンベルグ:活版印刷の発明。これにより思想や知識が多くの人に対して開放されることになった。
6. ニュートン:「万有引力の法則」などで科学技術の基礎を作り、以降の科学の発展に多大な影響を与えた。
7. ロック :著書『市民政府二論』で「自然権(人権)の社会契約」という概念を確固とうちだし、近代社会の基礎をつくった。この「人権」という概念こそ、近代社会を語る上で最も重要なキーワード。
8. カエサル:ヨーロッパという地域を形作る。また地域内相互での文化交流の発端となった。
9. アインシュタイン:相対性理論をうちだす。理論自体は難解で一般にあまり理解されていないが、原子力や宇宙科学などの分野を通して間接的に現代社会に影響を与えている。
10. ファラデー:電磁気学の発展に大きく寄与。電気は産業革命以降の一つの重要なエネルギー形態となっている。