鰯コンクリート

 

 わが国コンクリート工学の草分け、吉田徳次郎博士はモルタル中に鰯と銀杏の葉を埋め込み、約10年間自然環境の元に曝し、東大を去る定年退官の日にこれを割り、内部の鰯の状況を観察しました。そのとき、鰯はミイラ化しておりましたが、特に匂い等の変状はなく、銀杏の葉は割った瞬間には緑色を保っていたとのことです。
 吉田博士は遺言で自らの遺体をコンクリート詰にして埋葬することを求められました。その際に脂肪分や匂いが長期に渡り浸出し迷惑をかけることを懸念し、鰯という生体を使った実験を行ったものです。博士の持つ、実験実証に対する哲学のメッセージがここに込められています。残念ながら(?)、わが国の法律ではコンクリート詰の埋葬は許されません。そこでせめてものご遺志に沿うものとして、吉田先生のお墓(市ヶ谷)の台座はコンクリート製となりました。先生の数々の神話のひとつとなっています。

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