吉田先生とハンマー

 

 

 なんのへんてつもない古いハンマーです。しかし、このハンマーはコンクリートを叩いた回数では世界一かもしれません。
 吉田徳次郎博士は東京大学で構造力学を学び、イリノイ大学で理論の実験実証の意義に触れ、わが国のコンクリート工学の扉を開けた先人です。博士は最高強度コンクリートの開発や材料分離の発見という、世界的業績を生み出すのみならず、近代化を目指した多くの社会基盤施設建設の指導に携われました。そのとき、常備されたハンマーで建設されたコンクリートをたたき、打音にて品質を確認し、現場でよいコンクリートを製造するこつを技術者と現場作業員わけへだてなく伝授されました。
 博士の写真の多くにこのハンマーが写っています。まだまだ土木技術が産業の中で未熟であった時代、学の心を持ち、学の世界に身をおきながらも常にエンジニアたらんとし、また、見事にその使命を果たされた博士の遺品です。

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